就職・転職活動をするにあたって避けては通れない「自己分析」。
中でも「強み」の分析は最たるもの。
ただ、転職エージェントの目から見ると、正しく分析・アピール出来ていないケースが多いのです。
資格=強みではない?
強みのアピールでまず出てくるのが「資格」。
持っていること自体は素晴らしいことですが、それすなわち強みとは言えません。
そもそも、資格=能力ではないのです。
資格のほとんどは試験に合格したら取得できます。ただ、それは、その分野の基礎となる知識があるということの証明に過ぎず、実務能力とイコールではありません。
宅建士や司法書士を取得したら直ぐに実務ができるかと言えば、違うでしょう。
また、その資格自体が業務に関係のないものだったり、取得が前提となっているレベルのものだったりするとマイナスに働くことすらあり得ます。
資格を前面に出すなら
「宅建士を取得する際に学んだ知識を活かして、社内の●●の課題を●●して解決しました」
と実績を沿えるか、または
「プロジェクトを完遂する能力には自信があります。例えば●●年に司法書士を取得するためには~」
と自己アピールの材料にするのが良いでしょう。
また、営業でよくある「全社MVP」や「目標300%達成」も、ただそれだけでは印象に残りません。その実績の「世間的な価値」「そのために努力したこと」「再現性」を丁寧かつ簡潔に説明すれば納得感が出るでしょう。
弱みは強み?
他方、「弱み」だと思っていたことが実は市場価値のある「強み」だった、というケースも多々あります。
以前、転職をサポートした総務経験者の30代後半女性Aさんの話をします。
面談中、「私はただのなんでも何でも屋なので、これという長所がないのが弱みなんです…」と自信なさげでした。
ただ、詳しく話を聞いていくと、60代後半のワンマン社長と、20~30代中心の社員間のコミュニケーションの懸け橋になっていたことが分かりました。
一例を挙げると、この会社では若い社員は日報や出張申請などの社内ワークフローをクラウド化したいのに、デジタルに疎い社長は紙の手書き以外、断固認めない状況でした。これでモチベーションが下がり、辞めてしまう社員もちらほら。
この状況を心苦しく思っていたAさんはある日、社長になぜ紙にこだわるのかをやんわり尋ねました。すると、「ノートパソコンだと文字が小さくて読めない。ショートカットキー?なんだそれ。わからん」という答え。
てっきり世代的に手書きを強要しているのかと思いきや、単に老眼で見られなかっただけという状況を理解したAさん。
苦笑いしながら、倉庫に眠っていた32インチモニターとパソコンをつないで社長室の机の脇に設置し、マウスの右・左操作だけで日報や書類を読めるようにしたところ、社長は「これは楽だ!」となり、社内の書類申請業務は大幅に改善された、という話でした。
そう、Aさんは社内にある不都合の原因を探り当て、解決策を提示できるという立派な長所があるのです。
強みや弱みに対する考え方を見直すことで、また違う自分に気付けるかもしれませんよ。