「拙速(せっそく)は巧遅(こうち)に勝る」
中国の兵法書「孫子」の有名すぎる格言です。
その日取材したものをその日のうちに出し切るスポーツ記者を長いことやってきましたので、「締め切りに一秒でも遅れたら無意味」という価値観は非常によく理解できます。
ただ、実際には、何でもかんでも速い方が良いわけではありません。
LINEやメッセンジャーなどでの、「今日仕事終わったら飲み行く?」みたいなちょっとした会話ならスピード優先で、多少の誤字脱字はOKでしょう。
それが、例えば、何より正確性と具体性を重んじる報告書や本の原稿だとしたらどうか。
締め切りまで余裕があるのにテキトーなものを完成版として出したら、相手の怒りを買うこと間違い無しです。
この手の拙速タイプは、得てして自分の中の勝手な締め切りを相手に押し付けがちです。
対策として、お互いの中での「イージーライン」(余裕で間に合う)と「OKライン」(十分間に合う)と「デッドライン」(最終締め切り)を事前に確認しましょう。
そうすれば、上記のイージーラインのうちに「叩き台をチェックしてもらう」ことが可能になります。そこで軌道修正できれば、得意のスピードを保ちつつ、合格点レベルを確保することができます。
対する巧遅タイプは、事前に求められる品質を確認しましょう。自分にとってそれなりのレベルが、相手にとっては「良すぎる」かも知れないからです。
この「良すぎる」を「合格点」レベルに留めるだけで、工数が減りますから、課題であるスピードが改善します。
拙速にせよ巧遅にせよ、求められるのは他者目線、つまり期待値調整です。
そのメール、そのチャット、そのメルマガ。取り掛かる前に、相手がどのレベルを求めているか、考えてみませんか?
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今日の ビジネスアップグレード
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『期待値を調整しよう』